遺品整理の疑問!故人が生活保護受給者の場合はどうなるのか?

生活保護受給者が亡くなった場合、遺品整理は誰がすればいいのだろう?と、迷う方も多いのではないでしょうか。

遺品整理は、基本的に相続人である親族が行うことになっています。しかし生活保護受給者には身寄りのない方も多いために、遺品整理の手間と費用の捻出方法がしばしば問題になってしまいます。

ようやく整理する方法が決まったとしても、生活保護受給者の遺品整理特有の注意点があることは、あまり知られていないかもしれません。

そこで今回の記事では、生活保護受給者の遺品整理について以下の項目で解説します。

  • 生活保護受給者の遺品整理方法
  • 生活保護受給者の遺品整理の注意ポイント
  • 生活保護受給者が死亡した時の手続き方法

生活保護受給者の遺品整理のポイントを知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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1. 生活保護受給者の遺品整理方法

生活保護受給者の遺品整理は、誰がどのように行うのでしょうか?

故人が国に保護されていたから、遺品整理も行政が行ってくれると思うかもしれませんが、実際はそうではありません。

生活保護は本人が生きるための保障であり、サポートは本人の死去をもって終了します。つまり遺品整理は親族などで行わざるを得ないのです。

もし近い親族がいない場合は、遠くの親族や賃貸の連帯保証人が遺品整理に当たります。連帯保証人もいない場合には、住宅の管理会社が行うことになるでしょう。

なお遺品整理をする方法には、親族自身で行う方法と、業者に依頼する方法とがあります。

親族自身で行う場合は、遺品を仕分けし、退去に必要な家財の移動・処分を行った後に、清掃と原状復帰を業者に依頼してから、居住していた物件を引き払うことになるでしょう。

遺品整理を業者に依頼する場合は、業者が遺品の仕分け・家財の運搬・処分を行い、その後原状復帰をして、物件を引き払います。

業者に依頼する費用は一般的に1DKの場合3万円~15万円ほどで、原状復帰にもう少し必要になる場合もあるかもしれません。

なお、遺品の仕分け・処分は、相続の相談・手続きを行った後で開始するべきです。理由は次の章で解説します。

2. 生活保護受給者の遺品整理!5つの注意ポイント

生活保護受給者の遺品整理では、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

具体的に、次のような5つのポイントが挙げられます。

  • 行政からは費用が出ない
  • 親族の負担を分散する
  • 生活保護受給者でも債務の確認は必要
  • 遺族も生活保護時受給者の場合
  • 業者への依頼は相見積もりを取る

一つずつ確認していきましょう。

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2-1. 行政からは費用が出ない

生活保護制度は、本人が生きるための最低限の生活を保障する制度です。そのため、本人の死後の遺品整理に対する扶助はありません。行政がサポートしてくれるのは葬儀(直葬)までです。

また国や自治体の他の制度を見ても、遺品整理を行う費用を填補する制度はありません。

もし生前に家財の整理ができたとすれば、生活保護から家財処分料の給付を受けられる可能性もあります。しかしよほど身近な親族がいない限り、必要な手続きを行うこと自体が難しいかもしれません。

2-2. 親族の負担を分散する

生活保護を受給している方は、親族が離れていたり付き合いが疎遠になっていたりする場合が多いようです。

そのため、突然相続人だと告げられた親族だけに、遺品整理の負担がかかることになりがちで、そうなると親族間で不公平が生じてしまいます。

トラブルにならないためにも、遺品整理の前に話し合いの場を持ち、親族同士で負担を分散するよう心がけましょう。

2-3. 生活保護受給者でも債務の確認は必要

故人に借金がある場合に、親族が「相続放棄」をして債務を負わない選択ができることは、ご存じの方も多いでしょう。

ところが相続の資格のある親族が、遺品を勝手に捨てるあるいは売ってしまうと、相続放棄を希望しても通らなくなるケースがあるため、注意が必要です。

これは遺品整理を行った時点で「相続の意思がある」とみなされてしまうためです。

一般に生活保護受給者には借金がないと思われがちですが、実はそうとも言い切れません。

生活保護を受給する前に借金があれば、通常債務整理と自己破産を勧められる場合が多いとはいえ、必ずしも清算しているとは限りません。そして受給中には返済ができないため、債務が残ってしまうことがあります。

その他にも、溜まった未納の家賃が請求されるかもしれません。

つまり、生活保護受給者であっても故人の債務の確認は必要といえます。そして相続財産がプラスであれマイナスであれ、相続の手続きも通常の場合と同様に必要です。

2-4. 遺族も生活保護受給者の場合

相続する親族も生活保護受給者である場合には、さらに注意が必要になります。

生活保護受給者でも相続はできますが、相続した額次第では生活保護の支給が打ち切られてしまうことも考えられます。それならむしろ、相続放棄をして生活保護を受け続ける方が、その後の生活のためにはよいかもしれません。

もし判断がつかなければ、役所に相談することをおすすめします。

2-5. 業者への依頼は相見積もりを取る

遺品整理を親族で行うのは心身共に負担が大きいため、業者に依頼するケースが多いでしょう。

しかし遺品整理にかかった費用が高額すぎると、故人が受けていた生活保護費用の返還を求められる可能性もあります。

「遺品整理にお金をかけられる親族なら、生前に本人を援助できたはず」と判断されてしまうかもしれないのです。

そのため、生活保護受給者の遺品整理を業者に依頼する際には、3社ほど相見積もりを取るなど、経費を抑えたという証拠が必要になります。

遺品整理を業者に依頼する際には、ご自身の居住自治体の福祉課・福祉事務所か民生委員と相談しながら業者を選ぶとよいでしょう。

3. 生活保護受給者が死亡した時の手続き方法

生活保護受給者が亡くなった後、親族は具体的に何をすればよいのでしょうか。

ここから生活保護受給者の死亡後の手続きを、順を追って説明します。

まず、死亡した旨の連絡を、民生委員やケースワーカーまたは自治体の福祉課・福祉事務所へ行います。申請先は故人の居住地でなく、申請者の住民票のある自治体で構いません。

もし葬儀の費用が捻出できそうになければ、自治体の福祉課・保険課で「葬祭扶助」受給の申請をします。ただし、申請は必ず葬儀の前に行わなければならない点だけ注意が必要です。

次に葬儀社へ葬儀の依頼をします。その際に、葬祭扶助を利用する旨をはっきり伝えましょう。通常、福祉課の方から葬祭扶助に対応できる会社を紹介してくれる場合がほとんどです。

なお、葬祭扶助の範囲内で行える葬儀は、通夜・告別式がなく火葬のみを行う「直葬」と呼ばれる形態の葬儀のみです。

葬儀費用は、福祉事務所から喪主を通さず葬儀社に直接支払われます。

葬儀が終わりましたら、前に解説したとおり遺品整理を始める前に、相続の手続きを忘れずに行いましょう。

その他、故人が住居を借りるために保証会社を利用していないか、確認してみましょう。もし利用していたら、交渉次第では遺品整理を行ってもらえる場合もあるからです。

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まとめ

いかがでしたか。生活保護受給者が亡くなったときの遺品整理は、誰も率先して行う人がおらず、しかも手続きの順番を間違えると面倒なことにもなりかねません。

とはいえ親族でも、その方の死亡通知を受けるまで姻戚関係を知らなかった方が多く、遺品整理に戸惑い、わからないことだらけというのが本当のところでしょう。

もし生活保護受給者の遺品整理について不明な点があるようでしたら、わからないままスタートしない方が賢明です。役所担当者か遺品整理業者などの専門家に、相談してから始めることをおすすめします。

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